R.P.E.にて上顎を拡大後、ブラケットはクリアブラケットSL+ゴールドスロットの018”x025”スロットにてストレートエッジワイズ装置を装着し通法のステップに従い矯正治療を進めた。Levelingの後で上顎両側第一小臼歯、下顎両側第二小臼歯を抜去した。その後、J-hook head gearやU級ゴムを併用しながら上下歯列のアライメントを行った。
動的治療期間は2年10ヶ月であった。
初診時
I 動的治療終了時
口腔内所見:臼歯関係、犬歯関係がともにアングルT級となり適正なoverjet,overbiteと良好な咬合関係が獲得された。
側面セファログラム所見:SNAが82.5゚から82.0゚に、SNBが78.5゚から79.0゚に変化してANBは4.0゚から3.0゚となり上下の顎関係が少し改善した。また,U1 to NAは30.0゚から28.5゚、L1 to NBは32.0゚から21.0゚となり上下顎前歯の唇側傾斜も改善した。
U 動的治療後
2年6ヶ月
保定は上下顎共に犬歯間にワイヤー固定を、さらに上顎にはプレートタイプリテーナーにより行った。
口腔内所見:上下顎とも歯列は安定しており、緊密な咬合が保たれた。
パノラマエックス線所見:上下顎両側第三代臼歯の萌出が認められた。
側面セファログラム所見:ANBは3.0゚から1.5゚となりそれに伴いU1 to NAは28.5゚から32.0゚となり上顎前歯の唇側傾斜を認めた。
上顎前突の治療は習癖を伴った症例が多く、それが明確な歯列や咬合の形態変化になって現れているものや、この症例の様に治療を通じて発現してくるものもある。
このような場合、治療の途中からの筋機能療法を行う必要があるが、本人の自覚に欠ける為、モチベーションは低く協力性に欠けることが多い。この症例も、下唇噛みの癖が治療終了、保定後まで続いていたので、U1 to Naがやや唇側傾斜を呈していた。
私がクリアブラケットを使用する大きな理由のひとつとして、巣路と部の合成の高さと滑りの良さにある。トルクの大きなワイヤーにおいてもブラケットの変形が見られず、的確にトルクが掛かり且つ滑りが良いことである。